最近話題の投資対象に「コインランドリー」があります。
手掛けやすい数少ない成長ビジネスの一つとして人気があるようです。
実際、コインランドリー投資は1店舗2,000万円程度から可能で比較的取り組みやすい投資案件となっています。
同規模の投資対象に太陽光発電投資がありますが、こちらはFIT(固定価格買取制度)の改悪により投資妙味がなくなってしまいました。
気になるコインランドリー投資の収益性は一体どうなっているのでしょうか?
< 例示 >
小規模法人:資本金2,000万円
自己資金:2,000万円の設備<機器&内装>(税抜き)
建物面積:15坪
用地形態:テナント
立地:都市型・人口が集中する住宅地
~シミュレーション:税抜き~
①売上高
500,000円/月
②経費
450,000円/月
(内訳)
減価償却費※1
100,000円
固定(償却)資産税※2
20,000円
水道光熱費※3
110,000円
人件費(清掃費)
50,000円
賃料(テナント料)
120,000円
雑費
50,000円
③月次利益
①-②=50,000円/月
※1 法定耐用年数13年の定額法を主に概算計算しています。
(参考)「機械及び装置の耐用年数表」:〈番号49〉洗濯業、理容業、美容業又は浴場業用設備:13年
※2 洗濯装置を主な構成要素に初年度を概算計算計上、次年度以降は逓減します。
※3 水道光熱費は売上の22%で計算しています。
㊟他の販管費により追加の法人税等負担は発生しないとしています。
このように月次損益は大儲けしているとは言えません(利益率10%)。
※月次現金収支は150,000万円となります(収支率30%)。
㊟上記は自己資金で投資をしたケースで、借入金で投資をした場合は別途金融費用や元金返済が必要となり、利益率や収支率がその分悪化します。
<参照>
業者の提示する損益や収支は、減価償却費や固定(償却)資産税が考慮されていないことが多いです。
上記の例示では、月次損益(月次現金収支)は170,000円と高めに提示されてしまいます。※率にして34%
また、洗濯装置の割合は全体設備の70程度となります。※この部分が優遇税制対象
しかし、コインランドリー投資は、生産性向上設備投資促進税制や中小企業投資促進税制の即時償却や税額控除、償却資産税の減免などの節税メリットがあり、また消費税還付も受けられる場合があります。
上記例示のケースでは、即時償却の場合は1,400万円(=2,000万円×70%)を即時に費用化でき、税額控除を選んだ場合は対象金額の10%=140万円の法人税が軽減できます。※選択制(理論上は税額控除が有利)
消費税の課税事業者の場合、設備にかかる消費税(税率10%で200万円)が控除され、または一部が還付されることになります。
また、投資的な視点で考えると、コインランドリー投資は必需的な安定収益を生む優れもので、特にソーラー投資をしている場合は日照量の少ない雨の日に儲かるので、晴れの日に儲かる太陽光発電事業のリスクヘッジにもなります。
そのため、投資法人の資産ポートフォリオの一つに投資コインランドリーを加えることで収益の安定効果と分散効果が得られます。
特に投資事業で想定外の投資収益が発生した場合は、実益はもちろん節税も兼ねるためおすすめしております。
(税理士 橋本ひろあき)