これまで以上に企業年金の普及・拡大を図るため、「簡易型DC」、「個人型DCへの小規模事業主掛金納付制度(仮称)」の創設、DCの掛金単位の年単位化が予定されています。
もともとDC制度は大企業向けの制度ですが、中小企業向け(従業員数100人以下)の取り組みとして次の対策が実施される予定です。
(1)簡易型DC
設立時書類を簡素化し、行政手続きを金融機関に委託可とする。
※「運営管理機関契約書」や「資産管理契約書」等の設立書類を半分以下に省略。
(2)個人型DCへの小規模事業主掛金納付制度
個人型DCに加入している従業員に対し、事業主が追加※で掛金拠出を可能とする。
※従業員の個人型DC拠出額の範囲内(従来は追加拠出不可だった。)
他の改正も予定されていますが、次のものは中小企業に限定されません。
(3)DCの掛金単位の年単位化
柔軟な拠出を可能とするため、拠出の規制単位を年単位(年66万円)とされます。
※これにより、年66万円の範囲内で、賞与時に使い残し分の一括拠出が可能となります。
(参考:現行)
・企業型DCの掛金は、月単位で規制(月5.5万円)
・前月に拠出限度額の使い残しがあった場合でも、翌月に繰越して拠出できない。
※例示※
4月:4万円拠出(使い残し1.5万円)
5月:5.5万円のみ(5.5+1.5=7万円とはできない!)
(4)DCの加入対象者の拡大
個人型DCについて、第3号被保険者や企業年金加入者※、公務員等共済加入者が加入可能となります。
※企業型DC加入者については規約に加入可と定めた場合に限る。
なお、(1)(2)の施行は法律の公布日より2年以内とされ実施日は未定ですが、(3)(4)は平成29年1月1日より施行されることが決まっています。
この中で注目なものは(2)で、会社側が補助をして、従業員の老後資金形成の援助スキームができたことです。会社側はDC追加拠出額を会社経費にすることができ、節税効果も生まれます。
これをよい機会に、個人型DCへの加入を検討してみてはいかがでしょうか。
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①「いちからわかる!:個人型の確定拠出年金制度の加入対象が変わるの?」
②「確定拠出年金誰でもOK」
(税理士 橋本ひろあき)