仮想通貨(ビットコイン)をめぐる税務処理

最近よく見聞きするものに、「仮想通貨」というものがあります。

 

「仮想通貨」とはどのようなもので、その課税関係はどうなっているのでしょうか?

 

この記事では、以前話題となった仮想通貨のビットコインについてみていきたいと思います。

 

(1)ビットコインとは

ビットコインとは、数多くある「仮想通貨」の一つで最大規模のものです。

 

改正資金決済法※では、「仮想通貨」を通貨(お金)ではなく、決済手段に使える「財産的価値」と位置づけ、電子的な決済手段のうち、既存の法律で規制されていないものと定義しています。

 

したがって、先払いの電子マネーなどは資金決済法、後払いのクレジツトカードなどは割賦販売法ですでに規制されているため、「仮想通貨」には該当しません。

 

また、買い物でもらえるポイントやマイル、ネットゲームのコインなど、特定の範囲内でしか流通しないものは「仮想通貨」に含めないとされています。

 

<参考>資金決済法の改正

2016年5月25日に、ビットコインなどの仮想通貨を扱う交換業者を規制する改正法(仮想通貨法)が成立しています。

(1)改正内容

①仮想通貨と現金を交換する業者を登録制とし、金融庁を監督官庁とする。

②利用者が口座を開設する際は本人確認書類の提出などを必要とする。

③かつて起きたビットコイン取引所「マウント・ゴックス」の経営破綻を踏まえ、業者による着服を防ぐため、利用者と業者の仮想通貨の分別管理を求める。

 (2)施行

公布日より1年以内とする。

(追記)∴2017年(平成29年)4月1日となりました。 

 

※「仮想通貨」の新たな動きについてはこちらをご参照ください。なお、税法(特に消費税法)の変更は今年の7月に予定されております。

 

金融庁によると、現行の法制度では、仮想通貨の持ち主には所有権が認められていないということです。そのため、例えば業者が破産した際に、仮想通貨は業者の財産として扱われ、利用者に戻ってこない可能性があるので、仮想通貨の取引には信用できる業者選びが重要といえます。

 

(2)ビットコインの課税関係(個人)

通常、個人で仮想通貨交換を業として行うことは考えられませんので、資産運用目的としての課税関係を前提にして説明しています。

①所得税

ビットコインの売却益は資産の譲渡による所得とされ、総合課税の譲渡所得の対象とされます。

特別控除が50万円あるので、その範囲内であれば実質非課税となります。

50万円を超えても、長期保有(5年超)であれば、所得は1/2に軽減されます。

 

※売却損が発生した場合は、ビットコインが「生活に通常必要でない資産」とみなされ、他の所得との損益通算を認められない可能性が高いと考えられます。

 

もしも、ビットコインの取引を頻繁に行う場合には、ビットコインの売買損益(トレード損益)は総合課税の雑所得に区分されると考えるのがよさそうです。


雑所得の場合、収入金額から必要経費を差しい引いたものが所得(課税の対象)となります。

 

なお、今のところ当該所得について、課税庁から実務上の正式な取扱いは公表されていませんので、各自妥当と考える処理を行うことになります。

 

②消費税

ビットコインの取引は課税資産の譲渡等に該当するため、消費税の対象となります。

国内取引であれば消費税がかかり、国外取引であれば消費税はかかりません。

 

例えば、仮想通貨の売買取引の場合、仮想通貨の交換業者が国内にあるのか、国外にあるかで消費税の課税関係が変わってきます。

 

(例示:本体価格100円のビットコインの売買取引)

①国内取引として課税されるケース

 国内の交換業者     →      個人

          ビットコインの譲渡

  108円(税込)            108円(税込)

 

②国外取引として不課税のケース

 国外の交換業者     →      個人

          ビットコインの譲渡

  100円(-)             100円(-)

 

また、ビットコインと商品・サービスとの交換取引にも消費税がかかります。

ただし、ビットコインと商品・サービスの交換では消費者個人に追加の消費税の税負担は生じません。

※理由は次の法人(参考)欄をご参照ください。

 

③相続税・贈与税

相続開始時・贈与時の時価で評価されます。

※上場株式のような評価基準がまだないため、早急な取り扱いの手当てが求められます。

 

(3)ビットコインの課税関係(法人)

①法人税

ビットコインの売却損益は所得とされ、他の所得と同様に法人所得とされます。

 

法人の事業内容から、場合により、「短期売買商品」として時価評価の適用が検討されます。

 

②消費税

ビットコインの取引は課税資産の譲渡等に該当するため、消費税の対象となります。

国内取引であれば消費税がかかり、国外取引であれば消費税はかかりません。

 

例えば、仮想通貨の売買取引の場合、仮想通貨の交換業者が国内にあるのか、国外にあるかで消費税の課税関係が変わることになります。

 

(例示:本体価格100円のビットコインの売買取引)

①国内取引として課税されるケース

 国内の交換業者     →      法人

          ビットコインの譲渡

  108円(税込)            108円(税込)

 

②国外取引として不課税のケース

 国外の交換業者     →      法人

          ビットコインの譲渡

  100円(-)             100円(-)

 

なお、法人の事業内容や課税状況から、場合により、「棚卸資産」として、消費税の調整規定が検討されます。

 

ちなみに、ビットコインと商品・サービスとの交換は、課税資産の譲渡に該当します。

交換する場合の取扱いも参考にみておきましょう。

 

(参考)

国内における本体価格100円のビットコインと商品・サービスとの交換取引

 

これを仕訳でみると、

(商品orサービス)100/(ビットコイン)100

(仮払消費税等)  8/(仮受消費税等)    8

 

となり、受払消費税が相殺され、法人に消費税の追加負担は発生しないことが分かります。

※ビットコインの当初購入時において消費税を負担しています。

 

現時点での取扱いは以上のとおりと考えますが、今後取扱いの変更等が予想(特に消費税)されますのでご注意ください。

 

なお、イーサリアムやリップル、ライトコインなど他の仮想通貨についても同様の取扱いになると考えられます。

 

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ビットコイン・トレードの税務

 

(税理士 橋本ひろあき)