消費税の納税額が多くなり納税負担が一度期に重くなってしまう事業者のために、納税額を分割前払いする中間申告制度が用意されています。
この中間申告制度は、他の税目の法人税などでも採用されています。
この記事では、消費税の中間申告制度を見ていきたいと思います。
また、分かりやすくするため、地方消費税を含んだ金額で記述しています。
(1)中間申告回数について
消費税の場合、中間申告回数は、前年度の消費税年額によって変わります。
具体的には、
①前年度の消費税年額が約60万円以下の場合・・・不要
②前年度の消費税年額が約60万円超約507万円以下の場合・・・年1回(半年)
③前年度の消費税年額が約507万円超約6,349万円以下の場合・・・年3回(四半期ごと)
④前年度の消費税年額が約6,349万円超の場合・・・年11回(毎月)
となります。
(2)中間申告額について
消費税の中間申告額は、
①前年度の消費税年額が約60万円以下の場合・・・なし
②前年度の消費税年額が約60万円超約507万円以下の場合・・・前年度の消費税年額÷2
③前年度の消費税年額が約507万円超約6,349万円以下の場合・・・前年度の消費税年額÷4
④前年度の消費税年額が約6,349万円超の場合・・・前年度の消費税年額÷12
となります。
(3)申告期限・ 納付期限について
中間申告の申告期限ですが、各中間申告の対象となる課税期間の末日の翌日から2月以内とされています。
※ただし、年11回の場合は、一部期限が異なります。
納付期限も同様とされています。
また、当該申告期限までに中間申告がない場合には、上記(2)の金額により中間申告があったものとみなしますので、納税が遅くなれば延滞税が課されることもありますので注意が必要です。
(4)例示
例えば、3月末決算法人で、前年度の消費税年額が120万円だった場合、
・中間申告回数は、年1回
・中間申告額は、120万円÷2=60万円
・申告期限・納付期限は、4~9月の半年分につき、11月末日が期限
となります。
(5)仮決算による場合
上記(2)の計算額より、仮決算をして計算した実額の方が少ない場合には、その実額で申告、納付することもできます。(任意選択制)
なお、この場合、計算した額がマイナスとなっても還付を受けることはできません。
また、仮決算を行う場合にも、簡易課税制度の適用があります。
(6)任意の中間申告制度について
すでにみたように、前年度の消費税年額が60万円以下の場合、中間申告は不要とされますが、任意に申告することは認められます。
この場合、前もって「任意の中間申告書を提出する旨の届出書」を所轄の税務署に提出することが必要です。
ちなみに、消費税の中間申告の要否は、法人税の中間申告とは連動していません。
法人税の中間申告の要否は、別途判定することになります。
(7)地方税との関係
地方税の地方消費税は国税の消費税とあわせて中間申告することになります。
特に消費税は消費者からの預かり金という性格をもつため、計画的な納税資金の準備が求められます。
※上記算式と金額は簡略化しているので実際のものとは異なります。
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(税理士 橋本ひろあき)