個人が上場株式を証券会社等を仲介して譲渡した場合、証券会社等がその譲渡内容を税務署に報告することになっています。(譲渡の支払調書制度)
一般口座で譲渡した場合には、これまでは1回の譲渡対価(証券会社からすれば支払金額)が30万円を超えるときに報告されましたが(特例方式)、平成28年1月1日以後の譲渡については提出省略金額基準が撤廃されたため、すべての取引が報告されることになりました。
つまり、1回の譲渡対価が30万円以下の少額取引についてもその譲渡事実が税務署に報告されることになったのです(改正)。
なお、特定口座で譲渡した場合には、支払調書は提出されませんが、代わりに「特定口座年間取引報告書」が税務署に提出されます。
(参考:配当の支払調書制度)
個人が受け取る上場株式の配当については、株主総会または取締役会で配当の支払いが確定すると、1ヵ月以内に発行会社または株式事務代行機関である信託銀行などから配当の支払調書が税務署に提出されます。
※上場株式等の配当等については、その支払金額にかかわらず⚠︎すべての配当等の支払調書が税務署へ提出されます。
⚠︎非上場株式の配当については、1銘柄1回の配当が10万円(年1回配当の場合)を超える場合に提出されます。
ただし、特定口座の源泉徴収口座へ受入れた上場株式等の配当等については、支払調書は提出されず、特定口座年間取引報告書に、その源泉徴収口座で受け入れた上場株等の配当等の額等が記載されます。
今年からはマイナンバー制度も導入され、上場株式をめぐる税制度はさらに透明なものとされています。
(参考:株式関係のマイナンバー)
「支払調書」や「特定口座年間取引報告書」には、株主のマイナンバーが記載され、税務署へ提出されます。
株主は取引する(している)証券会社等へマイナンバーを届け出ます。
<主なもの>
①配当金に関する支払調書*
*既存株主については猶予期間が3年(平成30年末まで)ありますが、平成28年以降の新規株主は今年からの記載となります。
②特定口座年間取引報告書*
*既開設者にについては猶予期間が3年(平成30年末まで)ありますが、平成28年以降の新規開設者は今年からの記載となります。
③単元未満株式の買取請求など株式の譲渡取引に関する支払調書
■関連リンク(国税庁HP)
配当、剰余金の分配、金銭の分配及び基金利息の支払調書(同合計表)
(税理士 橋本ひろあき)