この10月1日から、「電気通信回線を介して」行われる役務の提供について、消費税の取扱いが変更されます。
具体的には、広告の配信・掲載、クラウドサービス、電子書籍や音楽の配信などがこれに該当します。
役務の提供について、内外判定が、「役務の提供を行う者の役務の提供に係る事務所等の所在地」から「役務の提供を受ける者の住所地」に見直されたため、これまで国外取引であったものが国内取引に変更される場合があります。
例えば、グーグルのアドワーズを利用している場合、従来はグーグルが国外事業者であるため国外取引でしたが、これからは、日本の事業者が利用すれば、国内取引になってしまいます。
これは、電子書籍や音楽の配信でも同様です。
ただし、広告の配信・掲載は事業者向けのサービスですが、電子書籍や音楽配信は一般に消費者向けのサービスと考えられますので、両者の取扱いに差が設けられています。
すなわち、広告配信はリバースチャージ方式として、サービス仕入側の事業者(わたしやあなたの会社などの国内事業者)に納税義務を課す一方、電子書籍や音楽配信は国外事業者申告納税方式として、サービス提供側の事業者(アマゾンなどの国外事業者)に納税義務を課すことにしたのです。
前者は事業者向けのもので、通常事業者は消費税の申告を行うため、その申告において消費税の精算をさせる一方、後者は消費者向けのもので、消費税の申告を行うことがないため、国外事業者に納税義務を課したものと考えられます。
(1)リバースチャージ方式(広告の配信・掲載、クラウドサービス)※下表:取引②
国内事業者(わたしやあなたの会社など)がリバースチャージ税の申告・納税を行います。
当該役務(特定仕入れ)に係る課税仕入れは、仕入税額控除の計算の基礎(特定課税仕入れ)となります。
㊟
当分の間、一般課税方式により申告する場合で、課税売上割合が95%未満である場合にのみ適用されます。
そのため、課税売上割合が95%以上の事業者や簡易課税制度が適用される事業者は、その仕入がなかったものとみなされますので、消費税の申告の際に考慮する必要はありません。
つまり、不課税仕入れとして処理すればよいことになります。金額は税抜支払額となります。
一般課税方式により申告する場合で、課税売上割合が95%未満である場合の処理方法は、国税庁ホームページに掲載がありますので、該当する方はこちらを参考にできます。
※下のPDFファイル参照
なお、リバースチャージ方式とは、通常とは逆(リバース)の方式のことで、消費税の納税義務を通常の売主から買主へ転換させたものです。
(2)国外事業者申告納税方式(電子書籍、音楽の配信)※下表:取引④
国外事業者が日本の税務署に申告・納税を行います。
役務の購入支払額は税込み金額となります。
㊟
国内事業者(わたしやあなたの会社など)が国外事業者から電子書籍等を購入した場合は、登録国外事業者の登録番号等が記載された請求書等の保存等を要件として、仕入税額控除が認められます。
◇参考
ちなみに、当方のように事業者として、アマゾン・キンドル(電子書籍)の印税収入やグーグル・アドセンスの広告収入がある場合は、下表:取引①(AmazonやGoogleに対して)又は取引③のように、従来は輸出免税取引であったものが、不課税取引に変更されます。
(税理士 橋本ひろあき)