資本金を減資するメリットと注意点

意図せずに、資本金が多額になってしまっている会社があります。


実は、資本金が多いと税金が多くなることがあります。

 

資本金でいうと、大事なラインは1,000万円、3,000万円、1億円です。


資本金が少ないと軽減税率や特例が適用できたりするため、中小企業は大企業(資本金1億超)より税優遇されているのです。これは財務基盤が脆弱(ぜいじゃく)であることが多い中小企業に配慮した租税政策といえます。

 

会社法では、最低資本金の制約が撤廃されているため、資本金を制限なく減少させることが可能となりました。

資本金の額については、下限はなく、0円とすることも可能です。

 

ただし、この減資を行うためには様々な手続きを踏まなければならず、株主総会の承認も経なければなりません。

会社債権者に対しても、一定の期間(1ヶ月以上)を置いて、減資公告・催告をし、この間に債権者からの意見を求めなければなりません。(これを債権者保護手続といいます)。


なお、減資を行うには、直前期の決算についての決算公示を行うことも必要となってきます。

 

◇減資手続きの流れ
原則として株主総会の特別決議㊟

債権者に対して1ヶ月以上の期間をおいて減資公告、催告

資本金の減少額などを登記
※登記手続きにかかる登録免許税は申請1件につき3万円

 

㊟特別決議を要しない場合
減資額が定時株主総会の日における欠損額以下である場合、定時総会に諮るときは、特別決議でなく普通決議で足ります。

 

税務上も減資は資本等取引㊟であるので、減資会社の所得金額の計算上、益金の額に算入されません。

 

㊟資本等取引:法人の資本金等の額の増加又は減少を生ずる取引並びに法人が行う利益又は剰余金の分配及び残余財産の分配又は引渡しをいいます。

 

ただし、有償減資の場合は、みなし配当として源泉徴収(預り金)が必要となることがあるので注意が必要となります。

これは、会社法上、有償減資が①資本金の減少およびそれに伴うその他資本剰余金増加と②その他資本剰余金を原資とした剰余金の分配という二つの取引から構成されており、税務上も同様の考え方を採用していることによります。

 

(有償減資:会計上の処理)
①資本金××/その他資本剰余金××
②その他資本剰余金××/現金××
               /預り金××
(有償減資:税務上の処理)
①資本金等の額××/現金××
②利益積立金額××/預り金××

※資本の払戻し(資本剰余金を原資とする配当)は、①資本の払い戻しとなる資本等の金額の減少部分と②配当の支払いとみなされる利益積立金の減少部分とに分けて取り扱われます。

 

減資して出資の一部を払戻したと考えますが、上記②で剰余金の分配があるので、分配された金額によっては「みなし配当」が発生することになります。

 

一方で、無償減資の場合は「みなし配当」の問題は生じることはありません。

 

実際問題として有償減資はあまりないように思いますが、減資が有償減資であるか無償減資であるかによって税務上は処理方法が異なる点には注意が必要です。

(税理士 橋本ひろあき)

 

◇拙著「中小企業経営と節税のエッセンス」収録記事◇