現在の企業会計が発生主義に基づいて行われていることは我々会計専門家にとっては常識なのですが、現実には現金主義で考えている経営者の方が散見されます。
特に、起業間もない経営者や個人事業主の方で多く見られます。
会社の決算書や税務申告書はこの発生主義会計をベースに作成されています。
資金繰り表作成のため、現金主義会計を補助的に使うこともありますが、こちらはあくまでも補完的とされています。(作成しない会社も多くあります。)
発生主義会計では、成果が確実となれば収益を計上し(現金の受取は関係ありません。)、費消が発生していれば(現金の支出とは関係なく)費用計上することになります。
一方の、現金主義会計では、現金受取のタイミングで収益を計上し、現金支払のタイミングで費用を計上することになります。
損益計算は発生主義会計で行われ、収支計算は現金主義会計で行われるのです。
経営者の方々にとっては、資金繰りが最重要事項であるため、頭の中がいつも現金主義となりがちです。
もちろん、収支計算も重要なのですが(資金ショートを起こさないという意味で)、会社法会計や税金計算は、繰り返しますが損益計算で行うことになっています。
そのため、特に会計や税金の話をするときは、頭の中を発生主義に切り替えて頂ければ我々専門家とスムーズな意思疎通が図れます。
そうすることで、お互い同じ土俵で、共通認識の下、正しい数字で話し合うことができるのです。
もしも現金主義のままであったなら、大変な誤解と間違いを招くことになってしまいます。
こうしたすれ違いがたまにあったりするので注意が必要です。
(税理士 橋本ひろあき)
◇拙著「中小企業経営と節税のエッセンス」収録記事◇