金融機関の信用格付けは、「金融検査マニュアル別冊[中小企業融資]」によると総合的に行われることになっています。
総合的にとは、定量分析・財務分析のほか、次のような定性分析も重視するということです。
定性分析には、会社の技術力・販売力や成長力、経営者の資質(代表者等の役員報酬の支払状況、収入状況や資産内容、保証状況と保証能力等)が対象となります。
今までのように、決算書に基づいた定量分析のみの評定ではないということです。
金融機関は、審査の結果、債務者である会社を、「正常先」「要注意先」「破綻懸念先」「実質破綻・破綻先」に債務者区分しています。
当然に融資を必要とする企業は、自社の格付けを良くしようと努めます。
ところが、実際の現場では、「定性分析評価」を積極的に行っていないようです。
現実には、評価が困難だということでしょう。
また、仮に「定性分析評価」を行う場合でも、定性分析情報を文書化したものが必要となります。
そして、企業独自のものより、税理士などが作成した文書の方が信頼度が高いようです。
しかしながら、金融の現場も変化が求められる現在、従来の定量分析重視の方式から、名実ともに総合判定方式へと移行してもらいたいものです。
経営者の皆様は、こうした時代の変化に対応できるように、定性評価項目の改善・向上に努めましょう。
(税理士 橋本ひろあき)