
ここでは、実際に損益計算書(PL)を使って、損益分岐点売上高、収支分岐点売上高、そして目標売上高の求め方をみていきましょう。
(1)損益分岐点の売上高は、次のように求めることができます。
損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率
多くの場合、管理会計までは行っていないでしょうから、簡便的に固定費≒販管費±営業外損益、限界利益率≒売上総利益率として計算します。
上記例の場合、損益分岐点売上高は、
(3,000,000円+90,000円-60,000円)㊟÷40%=7,575,000円となります。
㊟販管費±営業外損益で、特別損益は対象としません。
実際の売上高10,000,000円は損益分岐点売上高7,575,000円を超えているので、当然ですが、経常利益が発生します。
仮に、販管費が5,000,000円であれば、
(5,000,000円+90,000円-60,000円)÷40%=12,575,000円となります。
実際の売上高10,000,000円は損益分岐点売上高12,575,000円を下回っているので、経常損失が発生します。
(2)収支分岐点の売上高は、次のように求めることができます。
収支分岐点売上高=(固定費+借入金返済額-減価償却費)÷限界利益率
前提として、借入金返済額が年1,000,000円、減価償却費が500,000円とすると
上記例の場合、収支分岐点売上高は、
{(3,000,000円+90,000円-60,000円)+1,000,000円-500,000円}÷40%=8,825,000円となります。
実際の売上高10,000,000円は収支分岐点売上高8,825,000円を超えているので、当然ですが、経常収支がプラスとなります。
仮に、販管費が5,000,000円であれば、
{(5,000,000円+90,000円-60,000円)+1,000,000円-500,000円}÷÷40%=13,825,000円となります。
実際の売上高10,000,000円は収支分岐点売上高13,825,000円を下回っているので、経常収支はマイナスとなり、資金繰りが厳しくなります。
このように、常に採算ラインを損益ベースと収支ベースの両方で検討しなければなりません。
(3)目標売上高(損益ベース)は次のように求めることができます。
目標売上高=(固定費+目標利益)÷限界利益率
前提として、目標経常利益が年970,000円とすると
上記例の場合、目標売上高は、
{(3,000,000円+90,000円-60,000円)+970,000円}÷40%=10,00,000円となります。
ここでは目標経常利益を実際の経常利益に合わせているため、実際の売上高と一致しています。
(税理士 橋本ひろあき)