平成26年分の所得税の確定申告も終盤となりましたが、これから申告だという方もいらっしゃると思います。
今回で最終回となりますが、申告直前の留意事項を最後に確認したいと思います。
<留意事項>
(1)公的年金の申告不要制度
公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下である場合において、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下(「少額所得」と名付けます。)であるときは、納税額が発生したとしても、確定申告は不要となります。
ただし還付となる場合はあえて申告することで税金が戻ってきますので、積極的に還付申告するとよいと思います。(この場合は市県民税の申告もしたことになります。)
ただし、確定申告(国に対する申告)は不要であっても、住民税の申告(地方に対する申告)は、
①その他の社会保険料・生命保険料・地震保険料・医療費などの控除や扶養の追加をするとき、又は
②少額所得があるときに必要となりますから注意してください。
なお、①に該当する方は、住民税の申告をした方が納税額が少なくなりますので必須といえます。
(2)生命保険料控除の限度額
①新契約のみがある場合
(例示)
支払新生命保険料204,000円
・204,000円×0.25+20,000円=71,000円(最高限度40,000円)
∴4万円←<注意>5万円ではありません!
②新旧契約と介護医療保険契約もある場合
(例示)
・支払旧生命保険料:24,000円→24,000円<25,000円 ∴24,000円
・支払旧個人年金保険料:102,000円→102,000円>100,000円 ∴50,000円
・支払新生命保険料:37,000円→37,000円×0.5+10,000円=28,500円
・支払新個人年金保険料:なし
・支払介護医療保険料:82,000円→82,000円>80,000円 ∴40,000円
※24,000円+28,500円=52,500円>40,000円 ∴40,000円(限度)
よって、40,000円(生命)+50,000円(年金)+40,000円(介護)=130,000円→∴12万円(最高限度)
このように、新契約が絡む場合の控除額の計算は注意が必要です。
なお、上記は所得税の計算例ですが、住民税の控除額の適用については注意が必要です。
詳細は省略しますが、新旧契約がある場合において新保険料のみで所得税の控除を受けるときでも、新旧両方の保険料の記載が必要です。これは、ケースによって旧契約のみの保険料で計算した方が住民税では有利となる場合があるからです(記載さえしておけば、役所が適正に計算します)。
(3)地震保険料控除の限度額
所得税では最高5万円(住民税は2.5万円)
また、(旧)長期損害保険料(最高所得税1.5万円・住民税1万円)がある場合は控除額の計算に注意が必要です。
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(税理士 橋本ひろあき)