個人ならではの税金計算上の特典(配慮)に「所得控除」があります。
ちなみに法人の税金計算にはこうした控除はありません。
自然人である個人については、家族の扶養状況や個人の生活費の支出状況など人的・物的な個々の諸事情を税金計算で考慮しようとするものです。
(1)人的控除
①扶養控除
・所得税で38万円、住民税で33万円
※16歳未満の扶養親族(年少扶養親族)には控除額はなし
※19歳以上23歳未満の特定扶養親族については所得税で63万円、住民税で45万円
※70歳以上の同居の老人扶養親族については所得税で58万円、住民税で45万円
※70歳以上の非同居の老人扶養親族については所得税で48万円、住民税で38万円
②配偶者控除
・所得税で38万円、住民税で33万円
※70歳以上の配偶者(老人控除対象配偶者)の場合、所得税で48万円、住民税で38万円
③配偶者特別控除
・所得税で3~38万円、住民税で3~33万円
※配偶者の所得状況によって変動
※本人の合計所得が1,000万円超の場合は適用なし
④障害者控除
・所得税で、一般の障害者27万円・特別障害者40万円・同居特別障害者75万円
・住民税で、一般の障害者26万円・特別障害者30万円・同居特別障害者53万円
※扶養親族であれば、控除対象でなくても適用できます。
⑤寡婦(夫)控除
・所得税で27万円(特別の寡婦35万円)
・住民税で26万円(特別の寡婦30万円)
※寡婦と寡夫で条件が異なります。
⑥勤労学生控除
・所得税で27万円、住民税で26万円
※学生の方は、要検討です。
⑦基礎控除
・所得税で38万円、住民税で33万円
㊟
・年齢は、通常その年の12月31日の現況によります。
・給与の支払いを受ける青色事業専従者や専従者控除を受ける白色専従者は、扶養控除や配偶者・配偶者特別控除の対象にはできません。
(2)物的控除
⑧雑損控除…所得税と住民税で同額
災害、盗難、横領により本人又は同一生計親族(基礎控除額以下の所得者に限る)の生活用資産に損失を受けた場合に適用があります。
・控除額=次の金額の多い方
(イ)(損失額+災害等関連支出-保険金等)-(合計所得×10%)
(ロ)災害関連種出-5万円
⑨医療費控除…所得税と住民税で同額
本人又は同一生計親族のために支出した医療費に適用があります。
・控除額=(医療費-保険金等)-(合計所得×5%(10万円限度))・・・200万円限度
⑩寄付金控除…住民税にはありません(寄附金税額控除があります)。
特定寄付金(国、地方公共団体に対する寄付金その他一定の寄付金㊟ふるさと納税も該当)を支出した場合に適用があります。
・控除額=特定寄付金の支出額(合計所得の40%限度)-2,000円
⑪社会保険料控除…所得税と住民税で同額
・本人又は同一生計親族の公的保険料の実際支払額
⑫小規模企業共済等掛金控除…所得税と住民税で同額
・本人の掛金の実際支払額
⑬生命保険料控除
・旧契約(最大で所得税5万円、住民税3.5万円)
※一般生命と個人年金にそれぞれ適用あり(最高で所得税10万円、住民税7万円)
・新契約(最大で所得税4万円、住民税2.8万円)
※一般生命と個人年金、介護医療にそれぞれ適用あり(最高で所得税12万円、住民税7万円)
⑭地震保険料控除
・最大で所得税5万円、住民税2.5万円
上記の控除額から分かるように、所得税と住民税では控除額が異なる場合があります。
なお、住民税の控除額の方が少ないため、住民税の所得割の計算上、「調整控除」という税額控除が適用されています。
適用できる項目には個人差がありますが、漏れのないように適用するのが節税につながります。
なお、雑損控除・医療費控除・寄付金控除の適用については「確定申告」が必要になります。
(税理士 橋本ひろあき)