会社を設立する場合、営む事業内容から、複数会社を設立することが税金上有利となるケースがあります。
例えば、株式投資と不動産保有(太陽光発電事業も含む)と一般事業を営みたい場合には、①株式投資会社と②不動産保有&一般事業会社の2社を設立するとよいでしょう。
なぜなら、
①株式投資会社は、有価証券の売買益と配当金が収益源となりますが、これらの収益は消費税上は非課税又は不課税となりますので、通常は消費税免税事業者となります。
そのため、煩わしい消費税の申告は不要となります。
そして、法人税等の所得課税については、役員報酬や従業員給与を上手く支給することで、節税することが可能です。
支給を受ける個人側は、給与所得控除のメリットが享受できます。
②不動産保有&一般事業会社は、不動産賃貸収入(オフィス・店舗・事務所)と事業収入が収益源となりますが、これらの収益は消費税上は課税となりますので、消費税課税事業者となります。
※アパート収入であれば消費税上は非課税売上になります。
※基準期間や特定期間における課税売上高が1,000万円以下であれば消費税免税事業者とされます。
消費税課税事業者となることで、設備や高額資産の消費税還付を受けることが可能になります。
※アパートの保有をするなら、第3期目の末に購入するなどの事前の仕込みと工夫が必要になります。
そして、法人税等の所得課税については、安定した不動産収益と不安定な事業収益が上手に損益通算(総合課税)されることで、また、各種施策を実施することで節税することが可能です。
さらに、役員報酬や従業員給与の設定額によっては節社会保険料も可能となります。
もしも、これらの事業を一つの会社で営む場合、消費税上は課税と非課税が混同することになるため、消費税上の控除対象とされる消費税額は課税売上割合までとなってしまい、一部のメリットしか受けれないことになります。
そして、消費税の課税事業者となれば、有価証券関係の取引分類や課税区分も必要となり、日々の記帳が面倒になります。
このように、株式投資と不動産保有と一般事業を営みたい場合には、2社設立すると様々な施策をコントロールできます。
例えば、法人所得が1,600万円あれば、2社でそれぞれ年800万円とすれば、中小の法人税率の軽減が最大限受けられるのです。
※会社を設立する場合、設立コストが安価な合同会社㊟をおすすめしております。
㊟1社あたり約7万円で済みます。
ちなみに、複数会社を設立する場合、本店所在地は、2社とも同じ場所(例えば自宅)にしても登記上問題ありません。
現実にこうした複数会社を設立するとよいと思われる方が多くなっています。
(税理士 橋本ひろあき)