相続問題の一つに、相続税がかかってしまう場合、納税資金をどうすればよいかということがあります。
最近は、特に保険会社(銀行を含めて)が熱心に、「一時払い終身保険」をすすめているようです。
※契約者年齢がなんと90歳まで加入可能な商品があるようです。
特に、生命保険金の非課税枠の範囲内の保障であれば、相続税の課税対象にならないといったメリットも享受でき、また、保険金もすぐに受けとることができるので、納税資金をはじめ、もろもろの関連費用に充当できます。
実は、この「保険」のほかにも賢い納税資金の捻出法があります。
それは「相続財産の譲渡(売却)」です。
売却代金で納税する方法ですが、含み益のある財産を譲渡した場合、譲渡所得(値上がり益)が課税される点には注意が必要です。
なお、譲渡財産の取得日と取得費は被相続人の取得日と取得費を引き継ぐことになります。
相続税がかかった相続財産を譲渡した場合、その相続財産の譲渡所得から一定の相続税が控除できるのです。
これは、譲渡所得の取得費加算の特例といわれるものです。
相続財産が土地等(注)や建物、株式などの場合、多いに活用できます。
(注)土地等には、相続時精算課税制度の適用を受けた贈与財産である土地等や、相続開始前3年以内に被相続人から贈与された土地等を含み、相続時に棚卸資産であった土地等や物納した土地等、物納申請中の土地等は含みません。
ただし、相続税の申告期限から3年以内に譲渡する必要があり、平成27年1月からはすべての財産※において、その財産に対応する相続税だけが取得費に加算される(譲渡経費となる)ことになります。
※土地等については、平成26年12月31日までの相続では有利に取り扱われます。
この特例を活用することで、納税した相続税の一部を経費にできるのです。
(税理士 橋本ひろあき)