投資運用会社の運用成績の良し悪しは何を基準にすればよいのでしょうか?
自社の運用目標が漠然と年率3~4%なら、これをクリアできたら良かったと考えることもできます。
しかし、ここでは、投資の世界で通常比較対象とされるベンチマークと比べて上回った場合に良かったと定義付けたいと思います。
そして、ここでは、そのベンチマークについてみることにします。
各資産クラスの代表的なベンチマークには次のようなものがあります。
(1)株式クラス
①国内株式
・TOPIX (東証株価指数)
・日経平均株価
②海外株式
・MSCI コクサイ インデックス
※Morgan Stanley Capital International社が開発し、発表している株価指数で、日本を除く主要国を対象とする株価指数です。世界中の株式に分散投資するタイプの投資信託の多くが、この指数を「ベンチマーク」としています。
・MSCI ワールド インデックス
※Morgan Stanley Capital International社が開発し、発表している株価指数で新興国21カ国を対象とする株価指数です。
(2)債券クラス
①国内債券
・ノムラBPI総合指数
※日本の公募債券流通市場全体の動向を表すために開発された投資収益指数です。野村證券金融経済研究所が算出・公表しています。日本の公社債を投資対象としている投資信託の多くがこのインデックスをベンチマークとしています。
②海外債券
・シティグループ世界国債インデックス
※世界主要国の国債の総合投資利回りを各市場の時価総額で加重平均し、指数化したインデックスです。1984年12月末を100としています。高格付の海外の国債に投資するタイプの投資信託の多くが、この指数を「ベンチマーク」としています。
・JPモルガン・エマージング・マーケット・ボンド・インデックス
※新興国債券市場の時価総額で加重平均し、指数化したインデックスです。新興国の債券に投資するタイプの投資信託の多くが、この指数を「ベンチマーク」としています。
(3)リートクラス
①国内リート
・東証REIT指数(配当込み)
※東京証券取引所に上場している不動産投資信託証券全銘柄を対象として算出した東証REIT指数に、分配金支払いによる権利落ちの修正を加えた指数です。
②海外リート
・S&P グローバルREIT指数
※先進国及び新興国市場に上場しているREITの広範なベンチマークとしての役割を果たしています。
このようにベンチマークといっても、基準対象としている地域や銘柄が多様であるため、自社ファンドに最も近似するものを採用することが必要です。
そして、実際の資産配分割合に応じて加重平均したベンチマークを算出して、これを実際に運用する自社ファンドのパフォーマンスと比較することになります。
こうして、市場平均(ベンチマーク)と競争させることで、切磋琢磨と自己努力により、自社ファンドの運用成績がより改善される効果が期待できます。
(税理士 橋本ひろあき)