同族会社オーナーの場合、相続財産に自社の株式や出資が含まれます。
このいわゆる自社株(出資)の財産評価額は、評価単価×持株数(又は、評価総額×持分)で計算されます。
そのため、生前にできるだけ、評価単価の引き下げと持株数を減らせば良いことになります。
(1)評価単価の引き下げ
原則として非上場株式の評価は、大会社は類似業種比準価額方式により、中会社は類似業種比準価額方式と純資産価額方式との併用により、小会社は純資産価額方式により行うことになります。
一般に同族会社オーナーの相続では、原則的な評価になることがほとんどです。
しかし、特定の会社に該当する場合や少数株主が相続する場合などはこれらと異なる評価方式により行いますので注意が必要です。
ここでは、原則論でみてみましょう。
①類似業種比準価額の引き下げ
これは、配当金の引き下げと利益額の引き下げが有効です。相続開始の直近2期に行うと効果的です。利益額の引き下げは、含み損を抱える資産を売却したり、役員退職金を支給することで可能です。
②純資産価額の引き下げ
これは、留保利益や含み益の蓄積のなどで、そう簡単には引き下げできません。あえて損失を出すような経営をすれば引き下がりますが、本末転倒といえます。
(2)持株数の減少
①譲渡
これは、オーナーの持ち株を議決権割合に注意して、子らや取引先、従業員に売却することです。
特に問題となるのが、譲渡時価で、子らの同族関係者であれば譲渡単価が高額になりやすく、従業員らの関係者以外であれば譲渡単価が低額になります。
このため、従業員持株会を設立して、その持株会に20%程度を譲渡することがよくあります。この対策については後述いたします。
②贈与
これは、オーナーの持ち株を議決権割合に注意して、子らに贈与することです。
贈与財産額が高額となりやすので、基礎控除110万円内で贈与しても追い付かないかもしれませんが、複数人に毎年贈与すれば地道な対策として有効です。
(税理士 橋本ひろあき)