都心部ではタワーマンション(高層階マンション)を活用した相続税対策が流行っているようです。
通常のマンションと比べてその節税額が多くなるというものです。
その仕組みは次のようになります。
【前提:例示】
居住(専有)面積は同じく70㎡とし、貸付用で、すべての減額要素を織り込んでの最大減額幅を80%とすると
<通常マンション階>
5階:分譲価格6,500万円⇒相続税評価額1,600万円 ∴評価減メリットは4,900万円
<高層マンション階>
40階:分譲価格8,000万円⇒相続税評価額1,600万円 ∴評価減メリットは6,400万円
と、高層階になるほど節税(評価減メリット)効果は高くなります。
これは、所有マンション専有部分の敷地評価が、マンション敷地全体評価額の持分割合(専有面積の
比率)で計算されるため、高層階でも低層階でも専有面積が同じであれば同額となるためです。
また、家屋の評価も高層階でも低層階でも専有面積が同じであれば通常同額になります。
さらに、貸家の評価減や貸家建付地の評価減、状況によっては貸付用の小規模宅地等の特例が利用できるため、最大限で購入価額の2割ほどまで評価を下げることが可能なのです。
ただし、必ずしもすべての物件で最大減額となるわけではないので注意が必要です。
一方、ご承知のとおり、実際の分譲(譲渡)価格(買手からすれば購入価額)は高層階になればなるほど眺望が良いなどで高額となります。
そのため、結果として、上記のように高層階のマンション部分の評価減メリットが高くなるのです。
しかしながら、投資という観点で考えれば、投資額(元本)がきちんと回収でき、かつ、賃料などの収益(果実)が安定的に獲得できる物件なのかどうかを、その購入にあたっては慎重に見極める必要があります。
財産(相続税)評価額が下がっても、投資したものが低価値や無価値になってしまえば、元も子もないのです。
相続税が少なくなっても、それは節税ではなく、資産価値がなくなった(つまり投資に失敗した)ことの当然の結果という落ちになってしまいます。
(税理士 橋本ひろあき)