最近では、定期借地権での借地契約も多くなりました。
特にロードサイド店舗や定借付分譲住宅やマンションでの活用が増えているのではないでしょうか。
ここでは、この定期借地権の財産評価をみてみたいと思います。
(1)定期借地権とは
定期借地権とは借地権の一つであり、建物や構築物の所有者の借地権利のうち期限の定められたものをいいます。
定期借地権は、普通借地権と異なり法定更新がありません。
そのため、契約期間満了により、その借地権は消滅し、土地の所有者に返還されることになります。
(2)定期借地権の評価(評基通27-2)
①原則法
原則として、相続開始日において借地権者に帰属する経済的利益とその存続期間を基として評価します。
②簡便法
評価の簡便性の観点から、課税上弊害がない限り、次の算式により計算した金額により評価することもできます。
算式=定期借地権の目的となっている宅地の自用地価額×A×B
※A=定期借地権の設定時における借地権者に帰属する経済的利益の総額/定期借地権の設定時における宅地の通常の取引価額
※B=相続開始日の定期借地権の残存期間年数に応ずる基準年利率による複利年金現価率/定期借地権の設定期間年数に応ずる基準年利率による複利年金現価率
(注)基準年利率は国税庁HPで確認できます。H26年分はこちら
(3)定期借地権の目的となっている宅地(底地)の評価(評基通25(2))
①原則法
原則として、その宅地の自用地価額から定期借地権等の価額を控除した金額によって評価します。
②ただし書
自用地価額ー{(①定期借地権等の価額)又は(②自用地価額に残存期間に応ずる割合を乗じた価額)のいずれか大きい価額}
なお、この場合において、契約当事者が被相続人とその同族会社であるときには、被相続人所有の当該同族会社の株式評価上、{(②ー①)+①=}②を同社の純資産価額に算入します。
(4)一般定期借地権の目的となっている宅地(底地)の評価(個別通達)
一般定期借地権の目的となっている宅地の評価について、課税上弊害がない限り、財産評価基本通達の定めにかかわらず、当分の間、次の算式により評価することとされています。
算式=一般定期借地権の目的となっている宅地の自用地価額×C×D
※C=(1-底地割合)
※D=相続開始日の一般定期借地権の残存期間年数に応ずる基準年利率による複利年金現価率/一般定期借地権の設定期間年数に応ずる基準年利率による複利年金現価率
なお、一般定期借地権の借地権者が次の者に該当する場合には、「課税上弊害がある」ものとされています。
・借地権設定者の親族
・借地権設定者が会社役員となっている会社 等
そして、この場合には、原則どおり評基通25(2)により評価します。
(税理士 橋本ひろあき)