国債や社債などの公社債の財産評価はどうするのでしょうか?
ここでは資産家の保有が多い国債の具体的な評価事例をみたいと思います。
(1)公社債とは
公社債とは、国や地方公共団体、事業会社などが、広く一般投資家から資金を調達するために発行する有価証券をいい、「債券」ともいわれます。
公社債の投資家は、元本と利子を受け取る権利を取得します。
元本は償還期限前が到来するまで返済されることはありませんが、期限前に売却することもできます。
(2)公社債の種類
公社債にはいろいろな種類があり、多様に分類されますが、財産評価上は下記のように区分しています。
①利付公社債
②割引発行の公社債
③元利均等償還が行われる公社債
④転換社債型新株予約権付社債
ここでは、よくある「①利付公社債」、とりわけ国債についてみていきます。
(3)利付公社債の評価
金融商品取引所に上場されている利付公社債の例(評基通197-2(1))
(評価方法)
{金融商品取引所公表終値(券面額100当たり)+源泉所得税等相当額控除後の既経過利息の額(券面額100当たり)}×公社債の券面額/100円
(例示)
①相続開始日:平成25年10月22日
②国債
銘柄:第○○回利付国債(5年)
発行価額:99.00円(券面額100当たり)
利率:2.0%
利払期日:3月25日及び9月25日
償還年月:平成26年9月
券面額:10,000,000円
金融商品取引所の相続開始日の終値:101円30銭
日本証券業協会の公表する相続開始日の平均値:102円10銭
利子の課税方法:総合課税
<計算過程>
①101円30銭<102円10銭 低い方→101円30銭
②既経過日数の計算 平成25年9月26日~平成25年10月22日→27日
※既経過日数は、直前の利払期日から相続開始日までの日数(片落とし)により計算し、1年の日数は、平年、うるう年とも365日とします。
③評価額
{101円30銭+100円×0.02×(1-0.20315)×27日/365日}×10,000,000円/100円
=(101円30銭+11銭)×100,000円=10,141,000円 ∴10,141,000円
※個人向け国債の評価
原則として個人のみが保有できる新しいタイプの利付国債です。
こちらは、常に中途換金が可能であることから中途換金額によって評価することになりますから、上記方法とは異なります。
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(税理士 橋本ひろあき)