今回は、田や畑などの農地の財産評価について見てみたいと思います。
農地には次の4種類があり、それぞれ定められた方法により評価します。
(財産評価基本通達では34以降に規定されています。)
(1)純農地(評基通36)
①対象
次に掲げる農地のうち、そのいずれかに該当するものをいいます。
ただし、(4)市街地農地に該当するものを除きます。
ィ)農用地区域内にある農地
ロ)市街化調整区域内にある農地のうち、第1種農地または甲種農地に該当するもの
ハ)上記ィ)及びロ)に該当するもの以外の農地のうち、第1種農地に該当するもの(ただし、一定のものを除く。)
②評価方法
・倍率方式で評価します。
評価額※=固定資産税評価額×倍率
※実際面積が登記面積を上回る縄伸びのケースは、調整計算が必要です。
(2)中間農地(評基通36-2)
①対象
次に掲げる農地のうち、そのいずれかに該当するものをいいます。
ただし、(4)市街地農地に該当するものを除きます。
ィ)第2種農地に該当するもの
ロ)上記ィ)に該当するもの以外の農地のうち、第2種農地に準ずる農地と認められるもの
②評価方法
・倍率方式で評価します。
評価額※=固定資産税評価額×倍率
※実際面積が登記面積を上回る縄伸びのケースは、調整計算が必要です。
(3)市街地周辺農地(評基通36-3)
①対象
次に掲げる農地のうち、そのいずれかに該当するものをいいます。
ただし、(4)市街地農地に該当するものを除きます。
ィ)第3種農地に該当するもの
ロ)上記ィ)に該当するもの以外の農地のうち、第3種農地に準ずる農地と認められるもの
②評価方法
宅地比準方式又は倍率方式で評価します。
・宅地比準方式の場合
評価額=(宅地とみなした場合の評価額ー造成費相当額※)×80%
※造成費は各国税局ごとに定められますのでHPなどで確認してください。
・倍率方式の場合
評価額※=(固定資産税評価額×倍率[市街地農地相当額])×80%
※実際面積が登記面積を上回る縄伸びのケースは、調整計算が必要です。
(注1)
次の(4)市街地農地の80%評価となります。
※これは市街地周辺農地が宅地転用が許可される地域の農地であるものの、まだ現実に許可を受けていないことを考慮したものです。
(注2)
市街地周辺農地は、「倍率表」において、「周比準」と記載されています。
(4)市街地農地(評基通36-4)
①対象
次に掲げる農地のうち、そのいずれかに該当するものをいいます。
ィ)農地法第4条又は第5条に規定する許可を受けた農地
ロ)市街化区域内にある農地
ハ)農地法の規定により、転用許可を要しない農地として、都道府県知事の指定を受けたもの
②評価方法
宅地比準方式又は倍率方式で評価します。
・宅地比準方式の場合
評価額=宅地とみなした場合の評価額ー造成費相当額※
※造成費は各国税局ごとに定められますのでHPなどで確認してください。
・倍率方式の場合
評価額※=固定資産税評価額×倍率
※実際面積が登記面積を上回る縄伸びのケースは、調整計算が必要です。
(5)留意点
広大地に該当する市街地農地及び市街地周辺農地については、評基通24-4(広大地の評価)による評価額の方が有利であれば、広大地評価額の方を採用できます。(評基通40-2)
この場合、広大地補正率の中に宅地造成費等が考慮されていますので、造成費について控除しないことに注意が必要です。
また、広大地に該当するか否かは、①マンション適地かどうか、②戸建住宅分譲用地なら開発道路が必要かどうかがポイントになります。①は比較的判定が容易ですが、②はなかなか判断に迷います。分譲事例を現地および役所にて情報収集して細かくチェックします。また開発指導要綱に目を通し、開発を想定します。開発行為を行うとした場合、相当規模の潰れ地ができるようなら広大地に該当すると判断します。このように広大地判定に関しては検討する事項が多く骨が折れる作業といえます。
なお、著しく地積が広大であるかどうかの判定に関して、一定の形式的基準が示されています。
その形式基準では、原則として、普通住宅地区等に所在する土地で、都市計画法施行令の規定に基づき各自治体が定める開発許可を要する面積基準(開発許可面積基準)以上であれば該当するとして、具体的な数値は役所で確認することになります。
(税理士 橋本ひろあき)