会社形態を合同会社に決定したのなら、いよいよ実際に会社を設立することになります。
合同会社設立のおおまかな流れは次のようになります。
(1)設立する合同会社の基本的事項の決定
定款の基になる基本的事項として次のことを決めていきます。
①出資者と役員
合同会社の場合、出資者は原則として業務執行社員(役員)になります。
ただし、出資だけのみを行う非業務執行社員とすることも可能です。
②目的
法人が行う事業内容です。
すぐに事業としなくても、将来的に予定するものがあれば決めておくのが望ましいです。
ただし、多くても10種類程度に止めておくのがよいでしょう。
余りに多いとどんな会社か分からなくなるからです。(逆に信用が低下します。)
③商号
営業上使用する名称のことです。会社の名前になります。
基本的に自由に決めることができます。
ただし、名称には必ず「合同会社」を入れなければなりません。
また、英文表記をしたい場合は定款に記載することになります。
(特に記載する義務はありません)
社名の後に合同会社を現す英文は次のように記載します。
<表記パターン>
①LLC
②Limited Liability Company
<記載例>
①assetmix LLC
②ASSETMIX Limited Liability Company
ちなみに、英語の会社名は登記できません。したがって登記事項証明書(登記簿謄本)には記載されません。
なお、類似商号の規制は緩和されていますが、同一場所に同一商号の登記はできませんから、その点において調査をする必要はあります。
ただし、自宅などを本店所在地とする場合はそのようなことは起きえないでしょうから類似商号をチェックする必要はありません。
④本店所在地
定款においては、本店所在地を最小行政区画である市町村まで記載すればよいことになります。
しかし、会社設立登記申請書には具体的に全部を記載することになりますから、別途本店所在地を決定した議事録(決定書)が添付書類として必要になります。
最初から定款に全部を記載しておいてもよいですが、実務上は、上記のような運用をしていることが多くあります。
⑤資本金
合同会社の場合、元手となる資金である資本金は少なくてすみます。
ただし、FX会社となる場合は、口座開設のために最低でも100万円以上は必要な状況です。
資本金が100万円以下の場合、FX業者に法人口座の開設を断られることが多くなっているようです。
また、行政の許認可でそれ以上の金額を要する場合もありますから事前の確認が必須といえます。
⑥事業年度
会社の会計期間であり、税務申告では計算期間となる単位のことです。
日本の会社は3月末日決算の会社が多いですが、会社法上は自由に決めてよいことになっています。
ただし、1年を超えることはできませんから、通常は、会社設立日から1年以内の月末を決算日とすることが多いです。
つまり、会社設立日が4月中なら、その前月末を事業年度末としてできるだけ長めとすることが定石になります。
短くするとすぐに決算や税務申告をしなければならなくなり、手間やコストがかかってしまいます。
(2)会社代表者印の作成
合同会社の場合、代表者を定めたなら、「代表社員印」を作成することになります。
※代表取締役印ではありませんから注意が必要です。
最近は、ネット通販で格安に作れます。
会社代表者印・銀行印・角印の3本セットでも1万円しない業者があります。注文して3日程度もあれば手元に届くでしょう。
(3)代表社員の印鑑登録証明書(個人実印)の準備
個人実印の印鑑登録証明書は印鑑登録した役所で交付を申請して入手することになります。
登記申請書類に添付するために必要です。
<交付手数料>1通200円(山口県宇部市の場合)
(4)定款の作成
定款とは、会社の組織や運営方法などの基本ルールを定めたものです。
会社を設立するときには必ず作成しなければなりません。
定款に記載すべき事項には、絶対的なもの、相対的なもの、任意的なものの3種がありますが、基本的なパターンの雛形であればインターネットで無料で入手できますし、有料でも安価に作成してもらえるインターネット士業者も多くいます。
スムーズに作成しようと思えば業者を活用するのがよいと思います。
この場合は、電子定款を作成してくれる業者にすべきです。なぜなら、電子定款は紙の定款と異なり印紙税の課税文書には該当しないため、印紙税4万円が節約できるからです。
業者への外注費も、安いところでは2千円程度で済みますから結果としてかなりお得になるはずです。
定款の具体的な作成については後で詳しく触れたいと思います。
(5)出資金の払込み
次は、出資金(資本金)の払込みをします。出資者個人の銀行口座に自分の出資金分を自分の名前で振り込むだけです。
払込みの証明となる通帳の記帳箇所は後日行う登記申請の添付書類となります。
(税理士 橋本ひろあき)