今回は、相続財産としては特に地方にありがちな山林と森林の立木を見たいと思います。
山林には次の3種類があり、それぞれの方法で評価します。
(財産評価基本通達では45以降に規定されています。)
(1)純山林
①対象
市街地近郊や別荘地帯にある山林のように宅地の価額の影響を受けていないような山林をいいます。
②評価方法
・倍率方式で評価します。
評価額※=固定資産税評価額×倍率
※実際面積が登記面積を上回る縄伸びのケースは、調整計算が必要です。
(2)中間山林
①対象
市街地近郊にある山林で、売買価格水準が純山林より高い山林をいいます。
②評価方法
・倍率方式で評価します。
評価額※=固定資産税評価額×倍率
※実際面積が登記面積を上回る縄伸びのケースは、調整計算が必要です。
(3)市街地山林
①対象
市街化区域内にある山林をいいます。
②評価方法
宅地比準方式又は倍率方式で評価します。
・宅地比準方式の場合
評価額=宅地とみなした場合の評価額ー造成費相当額
・倍率方式の場合
評価額※=固定資産税評価額×倍率
※実際面積が登記面積を上回る縄伸びのケースは、調整計算が必要です。
なお、市街地山林について宅地への転用が見込めないと認められる場合には、その山林の価額は、近隣の純山林の価額に比準して評価します。
次は森林の立木についてです。
山林に植林した立木などがあれば、こちらも評価することになります。
(財産評価基本通達では111以降に規定されています。)
(1)森林の主要樹林
①対象
杉、ひのき、松、くぬぎ及び雑木をいいます。
②評価方法
評価額=標準価額×総合等級{地利級×立木度×地味級を連乗した値(0.03~1.56)}×地積
・標準価額→1ha当たりの価額で国税局から公表されています。
・総合等級→財産評価基本通達で定められています。
・地利級(立木の搬出の便否)→伐採した木を運び出すのに便利かどうかで、便利なほど評価は高く
なります。
・立木度(立木の密度)→木が密集しているかどうかで、密集しているほど評価は高くなります。
・地味級(地味の肥せき)→立木が良く育つ土地かどうかで、太い木が育っているほど評価は高くな
ります。
・地積→標準価額の単位に合わせるため、haに直します。
(例)5.346ha→5.34ha(小数点3位未満切り捨て)
(2)森林の主要樹林以外の立木の評価
原則として(1)と同様に評価します。
(3)庭園にある立木
庭園設備と一体評価しますので、通常は別途評価はしません。
ただし、その規模によっては別途評価の検討が必要となる場合があります。
(4)その他の立木
原木市場などでの実際に取引した価格や材木商などの取引業者(精通者)の意見価格などを参考にして評価します。
(5)留意点
相続人や包括遺贈者が相続や遺贈によって取得した立木については、上記評価額の85%相当額によります。
(税理士 橋本ひろあき)