ファンドを組成すると、特に「営業者」において各種の法規制が関係してきます。
今回はその概要を見ることにしましょう。
(1)みなし有価証券
匿名組合契約のほとんどが共同事業を行うものではなく、投資リターンを期待する投資性のものであることから、金融商品取引法上は有価証券とみなされます。(金商法第二条第二項に規定される「第2項有価証券」に該当します。)
(2)金融商品取引業者の登録
このみなし有価証券に該当する場合は、組合出資についても金融商品取引法が適用されることになり、業として組合出資を売買や仲介等をする場合には、金融商品取引業者(第2種)として登録を受けなければなりません。
(3)投資運用業の登録
匿名組合が主として(募集出資額の50%以上)有価証券投資事業を行っている場合は投資運用業の登録が必要になります。
※いわゆる事業型ファンド(投資家から集めた金銭等を株式等の有価証券ではなく、事業にかかる物資等への投資を行う場合)であれば、投資運用業の登録は必要ありません。
(4)ファンドの情報公開
出資者数が500人以上となった場合において、匿名組合が主として(募集出資額の50%以上)有価証券投資事業を行っているときは、その出資に関して一般投資家への情報開示のために有価証券届出書又は通知書の提出が必要になります。
※上記以外は直接の説明義務で対応可能という理由から有価証券届出書や有価証券通知書の提出は原則免除とされています。
(注)スモール・ヘッジファンドについては、実務上、上記の登録を避けるために、適格機関家等特例業務の届出をすることで済ませます。この届出の方がはるかに手続きとして簡単なためです。
(税理士 橋本ひろあき)
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