今回はGK-TKスキームにおいてヴィークル(媒介器)とする匿名組合の財務諸表の構造をみてみましょう。
(1)匿名組合の財務報告
ヴィークルとする匿名組合の財務報告に関する法令や規則はありません。
商法上とは異なり、会計上は、組合財産と組合損益は営業者と組合員に直接帰属させます。
そのため、営業者及び組合員に帰属する財産及び損益を定期的に確定し、各組合員に報告する手続きが必要となります。
組合構成員は個人又は法人であり、その会計上及び税務上の必要から、ヴィークルにおいても1年以下の会計年度を定めることになります。
そして、1年に1度※は、決算確定(組合総会での承認)と各組合員への財務報告は必要です。
※組合員の中に上場会社があれば四半期報告との兼ね合いがでてきますので注意が必要です。
(2)匿名組合の財務諸表
営業者が合同会社(GK)とした場合の、ヴィークルの財務諸表は次のようなものとなります。
①匿名組合貸借対照表
資産の部、負債の部は合同会社と同様になります。
しかし純資産の部は、次のように変わります。
(純資産の部)
Ⅰ出資総額 ××
Ⅱ剰余金
繰越剰余金 ××
損益分配額 ××
分配前当期純損益 ××
剰余金合計 ×××
②匿名組合損益計算書
ほぼ合同会社と同様になります。
ただし次の相違点があります。
・販管費の中に、営業者報酬が計上されるときがあります。
・末尾が、分配前当期純損益に変わります。
(税理士 橋本ひろあき)