太陽光発電事業の個人税務

個人経営で太陽光発電事業を行っている場合の税金上(所得税)の取り扱いをみてみましょう。

 

その前に前提知識として、余剰電力の売却(電力会社側は買取)と全量売電(電力会社側は買取)の違いをきちんと認識する必要があります。

 

(補足)

余剰電力の買取と全量買取は何が違うんですか?

 

(1)太陽光発電設備(10kW未満の住宅用)による余剰電力の売却収入(所得区分)

 ①給与所得者、個人事業者又は不動産賃貸業を営む個人が、自宅に太陽光発電設備を設置し、家事用資産として使用し、その余剰電力を売却した場合のその売却収入・・・雑所得

 

②個人事業者が、自宅兼店舗に設置した太陽光発電設備による余剰電力を売却した場合のその売却収入・・・事業所得の付随収入

 

③不動産賃貸業を営む個人が、賃貸アパートの屋上に設置した太陽光発電設備により発電された電力を賃貸アパートの供用部分に使用し、余剰電力を売却した場合のその売却収入・・・不動産所得

 

(2)太陽光発電設備(10kW以上の産業用)により生じた電力の全量売電収入(所得区分)

業務又は居住の用に供する建物に太陽光発電設備を設置して全量買取により電気を売却して得る所得は、一定の管理を行っている場合は、一般的に事業所得となります。(特段の管理を行っていない場合は雑所得)。

 

◇参考:資源エネルギー庁ホームページより抜粋


①事業所得となる場合
(イ)電気主任技術者の選任を行っている場合(出力量50KW以上の場合)
(ロ)出力量が50KW 未満の場合であっても、次のような一定の管理を行っている場合
・土地の上に設備を設置した場合で、当該設備の周囲にフェンス等を設置しているとき
・土地の上に設備を設置した場合で、当該設備の周囲の除草や設備の除雪等を行っているとき
・建物の上に設備を設置した場合で、当該設備に係る除雪等を行っているとき
・賃借した建物や土地の上に設備を設置したとき


②事業所得にならない(雑所得となる)場合
自己の建物の上に設備を設置した場合で、特段の管理を行っていないとき。

 

したがって、全量売電の場合、かなりのケースで事業所得になると考えられます。

 

(3)太陽光発電設備に係る減価償却(耐用年数)

 太陽光発電設備(機械及び装置)の耐用年数は基本的には17年となります。

 

ただし、建物との一体型は、建物の一部を構成することから、その「建物」の各耐用年数に該当します。

 

(4)エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除

税法の規定によれば、「事業所得の金額の計算上」とされているため、不動産所得や雑所得は該当しません。

なお、青色申告者でなければ利用できません。

 

したがって、青色申告者で事業所得者がその適用対象者になります。(平成28年3月末日まで)

 

また、事業供用年において100%即時償却も選択できます。(平成27年3月末まで)

 

これらの適用にあたっては、確定申告が必要ですが、その際下記の書類の添付が必要です。

・固定価格買取制度の申請書の写し

・経済産業大臣の認定書の写し

 

◇エネルギー環境負荷低減推進設備等とは

・太陽光発電設備(10kW以上の産業用)など

・国又は地方公共団体の補助金等をもって取得等したものは対象外

・設備を取得後、1年以内に事業供用(系統に連携して売電開始)しなければなりません。

 

(5)消費税の還付

太陽光発電設備の取得時点で消費税課税事業者を選択していることが還付のポイントです。

(通常は免税ですが、意図的に課税事業者を選択します。)

 

所得税において事業所得ではなく、雑所得として申告する場合でも消費税の還付は受けられます。
ただし、取得後3年間は消費税課税事業者(本則)として消費税申告が必要となります。

 

なお、個人事業をすでに行っており消費税課税事業者(本則)になっていれば、選択の必要はありません。

 

なお、太陽光発電収入の消費税の取扱いは次のとおりとなります。
①自宅に設置して余剰電力を売却した場合・・・不課税取引
②事務所又は賃貸アパートに設置して余剰電力を売却した場合・・・売電収入が課税取引
③自宅兼事務所に設置して余剰電力を売却した場合・・・売電収入が課税取引
④全量売却した場合・・・売電収入が課税取引

 

(6)固定資産税の対象
太陽光発電設備は、その資産の種類が「機械及び装置」に該当するため、償却資産としての申告が必要になります。

実際に、どの規模の設備が対象となるかは資産所在地の市役所等に確認してください。
※家屋の屋根材として設置された太陽光発電設備については、家屋の一部として課税対象となります。

※個人の場合、「住宅用」は課税対象になる場合(10KW以上)と課税対象にならない場合(10KW未満)とがあり、「事業用」は「事業用資産」とされ、課税対象となるのが一般的な判断です。

 

(7)個人事業税の対象

売電収入が雑所得に該当するのであれば、基本的には、個人事業税の課税対象外ですが、事業性がある(事業所得に該当する)と判断された場合には個人事業税の課税対象となりうるとする見解が示されています。

ただし課税対象となる場合でも、事業主控除が年290万円あるので、ほとんどの場合課税されることはないでしょう。

なお、課税される場合は、第一種事業(電気供給業)として税率5%となります。

 

次回は、太陽光発電事業を法人で行う場合の取り扱いをみてみましょう。

 

◇更新履歴

2015年1月23日更新

 

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(税理士 橋本ひろあき)