合同会社の社員(ここでは、父・代表社員と仮定)が死亡した場合、その死亡した社員の出資金(持分)はどうなるのでしょうか?
合同会社の場合、以前にこのブログ記事(「合同会社の事業承継」)で取り上げたように「定款」に承継の定めがあるかないかで異なってきます。
通常は、「定款」に承継の定めをしますので、それを前提に考えたいと思います。
<定款に承継の定め:有>
死亡した社員の相続人へ、亡くなった社員の持分が引き継がれます。
持分が引き継がれますと、相続人は全員がその会社の社員に就任することになります。
ここでは、”全員”が社員となるのがポイントです。
仮に、相続人のうち長男一人だけが合同会社の事業を承継すると
この場合の実務上の流れは、
相続人が、妻・長男・次男の3人だとして、
まず相続人全員が社員に就任し※、妻と次男が長男に各自の承継持分を譲渡するということになります。
※相続人が複数いる場合に特定の相続人(ここでは長男)を社員として入社させることはできません。
※登記手続き上は、亡くなった社員の死亡による退社の登記(法定の退社事由に該当するため)と相続人の相続による入社の登記が必要になります。(社員の変更登記:登録免許税 通常1万円)
この場合、亡くなった社員の戸籍謄本と定款を添付し、登記申請します。
(注)持分の払戻しはされませんから、資本金の減少登記は不要です。
社員の変更登記ですが、事業を承継する長男は代表社員になることがほとんどだと思います。
そのため、相続人全員の社員就任時と同時に、長男を代表社員に新たに選任する手続きが必要です。
以上、合同会社の社員が死亡した場合の実務上の流れをみてきましたが、相続人には色々とややこしいことがでてきます。
ただ、私見ですが、定款に承継の定めをした上で、生前に次のような遺言をしていれば大丈夫なのではないでしょうか?
遺言書(遺言者:父)
合同会社○○の持分の全てを、長男に相続させる。
これについては、まだOKという確認がとれていませんが、時が過ぎればその是非が分かると思います。その際はこのブログで正誤の記述をする予定です。
(税理士 橋本ひろあき)