法人活用の節税法として「家族役員」の就任があります。
配偶者や子らを役員に迎え入れることで、役員報酬を支給することができます。
この役員報酬のメリットは給与所得に該当するため、給与所得控除(最低でも65万円あり)が利用できることにあります。
つまり、法人側は役員報酬65万円を支給すると全額が役員給与(定期同額給与にする必要があります。)として法人の費用となり、支給を受ける家族役員側は給与所得0(ゼロ)となり個人の税金がかかりません。
しかし、常勤役員であれば、社会保険への強制加入で社会保険料負担が生じてしまいます。
※そうならないように、非常勤役員にして、報酬月額を5万円程度に抑えることが実務上あります。もちろん、経営に深く関わることはできません。
仮に
2人の家族役員を迎えると、65万円×2=130万円
3人の家族役員を迎えると、65万円×3=195万円
が法人費用にできるのです。
※ただし、学生や未成年者の子らの役員就任には注意する必要があります。
実務上は非常勤役員として、報酬月額5万円(年間60万円)を支給することが多いです。
株式会社は、未成年者は15才以上でなければ就任できません。一方、合同会社は代表社員以外の社員には就任できます。(印鑑登録証明書との関係)
なお、未成年者の学生(中学生や高校生)や留学中の子女に対して役員報酬を支給しても、税務上は否認されますのでご注意ください。
実際は、個人には基礎控除額38万円がありますので、65万円+38万円=103万円までは所得税はかからないことになります。
※他の所得控除がないものと仮定して、役員報酬103万円のとき住民税の方は若干かかります。
→「所得割2,500円と均等割5,500円(H26年度以後は復興住民税1,000円上乗せ後)の合計8,000円」
すべての税金を0(ゼロ)にしたければ、報酬月額8万円程度にするのが理想です。
この場合は@8万円×12=年額96万円の役員報酬となります。
もちろん、役員報酬月額を@20万円、@30万円などにすることはできますが、この場合は、家族役員の方で所得税・住民税や社会保険料が発生してしまいます。
実際は、会社の業績見通しや家族構成によって適正な役員報酬額は変わってきますのでご注意ください。
なお、合同会社の場合は、常勤役員も非常勤役員も「業務執行役員」として迎え入れることになります。
この場合の登記上の手続きなどは当ブログの該当記事を参考にしてください。
ちなみに、代表社員はさすがに非常勤役員とすることはできないと考えます。
(参考)
※株式会社の株主に相当するものに、合同会社の「非業務執行社員」というものがあります。
この「非業務執行社員」は業務執行は行わず、業務執行社員の業務と財産の状況の監査権を持ちます。
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「投資会社の節税法③(家族役員の増加)」←当記事
(税理士 橋本ひろあき)