投資会社の設立メリットの一つに役員退職金を支給できることがあります。
個人投資家では支給できません。
それではどうやって退職金原資を作るのでしょうか?
一例(中小企業倒産防止共済)を見てみましょう。
①投資会社が「中小企業倒産防止共済(経営セーフテイ共済)」に加入します。
設立1年後から加入できます。
②毎月掛金を払います。
月@5,000円~@200,000円の範囲内で5,000円単位
※前払いができます。
③法人所得計算上は、毎事業年度、掛金全額が損金となり節税効果があります。
④最大800万円まで掛けられます。
⑤40か月後から解約しても元金は保証されます。
※そのため、3年と4カ月は掛け続けることになります。
また、1年未満の解約は、「掛け捨て」となり損します。
⑥解約すれば、解約手当金の全額が法人の収益(雑収入)となりますが、解約年度に役員退職金を同額支給すれば法人の損失(損金)となり、損益はトントンとなります。
※役員個人の方は、退職所得となりますが、1年40万円(勤続20年以下の場合)の所得控除枠がありますので、通常は所得が生じることはありません。
(20年役員勤務で非課税枠は800万円です。)
なお、役員の勤続5年以下の退職所得(「特定役員退職手当等」といいます。)については、1/2の軽減がありませんのでご注意ください。
このように、会社の節税もできて、尚且つ役員退職金(本人用)も準備できる仕組みは投資会社だからこそ作れるのです。
※参照(小規模企業共済)
退職後の生活資金(老後資金)の積立制度に「小規模企業共済」という共済制度があります。
こちらは、役員個人(注:合同会社の場合、業務執行役員である必要があります。)としての積立制度であるため、掛金(月額最大7万円)が個人の所得税で全額所得控除の対象となり、積立期間中は毎年、個人の所得税の節税になります。
なお、中途解約時の解約手当金は一時所得として、また、通常の共済金は退職所得として優遇課税されます。
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「投資会社の設立シミュレーション④(役員退職金)」 ←当記事
◇改訂履歴
2014年6月24日:最終更新日
2013年11月19日:初稿日
(税理士 橋本ひろあき)