相続税対策を考えた場合、個人投資家として証券投資する場合と、投資会社で(法人投資家として)証券投資する場合とではどちらにメリットがあるのでしょうか?
上場株式投資額(元本)が1,000万円として、相続時の時価が2,000万円と仮定すると
(1)個人投資家の場合
財産額は、相続税評価額=時価額
∴2,000万円
(2)投資会社(合同会社)を設立して、投資していた場合
財産額は、投資会社の出資持分=「株式保有特定会社」出資としての評価額
単純に、純資産価額として評価すると(他に資産、負債がないものと仮定)
{2,000-(2,000-1,000)×40%}÷1口(全部所有)=1,600万円
∴1,600万円
(3)財産評価低減(メリット)額
(1)-(2)=400万円
※上場株式の含み益(評価差額)にかかる法人税等相当額だけ財産額が減少します。
これは会社持分の評価上、その間接所有による制約減価や清算価値を考慮しているためです。
※40%は現状の清算税率(平成26年4月1日~の相続・贈与に適用)です。
これは、法人税(復興特別法人税を含む)・住民税・事業税(特別地方法人税を含む)の合計税率
です。
また、相続があった場合、個人財産としての上場株式は相続人等への名義変更が必要となり費用や手間がかかります。
一方、法人財産としての上場株式は、あくまでも法人のものですから名義変更など必要ありません。(ただし、株式や出資の名義を変更する必要はあります。)
なお、個人所有の場合、上場株式の名義変更なら書換手数料も少額で済むかもしれませんが、不動産は相続名義変更で登記費用もかかり、それなりの出費になります。
この点、法人で不動産を所有させれば、最初の1回だけで済みます。
(ただし、この場合でもやはり株式や出資の名義を変更する必要はあります。)
このように投資会社を設立するのは、相続税の節税対策上、相場上昇局面(評価益が多額にある場合)において特に有効であることがお分かりになると思います。
すでにお伝えしているように、総合的に考えて、投資会社の設立は私の目には極めて魅力的に映っています。
■関連記事
「投資会社の設立シミュレーション②(相続税対策)」←当記事
◇改訂履歴
2014年6月20日:最終更新日
2013年11月15日:初稿日
(税理士 橋本ひろあき)