一般の事業会社が投資法人を子会社形態で設立した場合、何かメリットがあるのでしょうか?
(前提条件)
・A社・・・親会社(一般事業を営む)
・a社・・・A社の100%子会社(株式投資事業を営む)
(1)法人税法上のメリット
a社を新規に設立した場合、a社に利益が出れば、剰余金の分配可能額の範囲内で配当をすることができます。
法人税法上は、グループ法人税制の適用により、A社の所得計算上は子会社からの配当金は全額が益金に算入されません。
この点は節税になります。
一方、a社は通常の一般事業会社と同じように所得計算され、特にメリットはありません。
(2)相続税法上のメリット
A社の代表者(株主)に相続が起きた場合、その相続財産はA社株式となります。
A社株式は、通常は「純資産価額方式」をベースにして評価されます。
また、A社はa社株式を保有しています。
a社は有価証券を多く保有するため、通常「株式保有特定会社」に該当しますがa社株式の評価を行う際には、評価計算上「評価差額に対する法人税等相当額」の控除はできませんから注意が必要です。
一方、A社株式の評価計算上「評価差額に対する法人税等相当額」の控除はできますから、a社が有価証券含み益を擁していた場合は、自社株の評価額が下がり節税になります。
以上から、投資法人を子会社形態で保有するのは一定の節税効果があるといえます。
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(税理士 橋本ひろあき)