法人が上場外国株式の売買で得た利益に対する課税は、基本的に国内上場株式と同様の取扱いとなりますが、為替差損益も含めて計算されることや、外国税額控除の適用が受けられるなど、国内株式と異なる場合もありますのでご注意ください。
上場外国株式の売却益については、多くの場合は「租税条約」によって外国では課税されませんので、基本的に売却約定日における東京外為市場のTTBで邦貨換算した譲渡収入から購入約定日における東京外為市場のTTSで邦貨換算して記帳済みの取得価額の差額で計算され、他の法人所得と合算されます。
※TTB・TTSの為替レートは証券会社のHPでも確認できます。(マネックス証券の場合)
また、譲渡損益は個別の外国株式・海外ETFの売却ごとに計算します。
(計算例)
・国内店頭取引により売却
・A社株100株を、@30ドルで購入(購入約定日のTTS;1$=100円)
・A社株100株全部を、@35ドルで売却(売却日のTTB;1$=95円)
・外国における譲渡益課税は「租税条約」により行われていない。
※手数料等は考慮外
※国内店頭取引の場合、売却単価は、一般的に手数料相当額が控除されています。
(1)取得価額
100株×@30ドル×100円=300,000円
(2)譲渡対価
100株×@35ドル×95円=332,500円
(3)譲渡損益
(2)-(1)=32,500円→他の法人所得と合算されます。
(4)手取り額
∴(2)=332,500円
※外国所得税がかからないため、外国税額控除の適用はこのケースではありません。
なお、通常、上場外国株式の売却は消費税上、不課税となります。
一方、売却(購入)手数料(国内取次手数料)は課税仕入れとなり、「課税資産の譲渡等にのみ要するもの」となりますので注意してください。
※国内株式を譲渡した場合、消費税は売却代金の5%相当額が非課税売上高となり、証券手数料は「非課税資産の譲渡等にのみ要するもの」となりますので合わせてご注意ください。
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(税理士 橋本ひろあき)
~スッと読めますシリーズ~
拙著「投資運用会社(株式・FX)の設立と運営のすべて」収録記事