資本剰余金が原資の配当金の法人税務

平成18年度の税制改正により、剰余金の配当金はその原資により明確に区分することになりました。

利益剰余金から成る配当金は配当所得として課税し、払込資本から成るものはキャピタルゲインとして課税されるのです。

 

そのため、資本剰余金を原資とする剰余金の配当が行われた場合には、その配当金(資本の払戻しにより交付を受けた金銭)については配当所得には該当せず、「みなし配当金」及び「みなし譲渡収入金額」に該当することになりました。

 

また、資本の払戻しがあった日(配当支払の効力発生日)において保有している株式については、純資産減少割合(払戻し割合)に応じて資本の払戻部分に相当する額について、その発行法人の株式の取得価額を減額修正しなければなりません。

 

(計算例)

・上場A社株式を投資有価証券として保有

・保有株式:200株(1株当たり取得価額5,000円、取得価額総額1,000,000円)

・純資産減少割合:0.1(払戻法人が算定し、通知することになっています。)

・払戻しによる交付金:1株当たり1,000円(うち、みなし配当金200円)

 

(1)基準日(H26年3月31日)

(2)効力発生日(H26年6月29日)→取得価額の調整日㊟

(3)配当金受領日(H26年6月30日)

(4)株式譲渡日(H26年10月4日)(1株当たり売却価額6,000円)

 

上記前提の場合、法人口座での仕訳は次のようになります。

 

(1)基準日

特に処理はありません。

 

(2)効力発生日

税務上の取得価額の付替計算をします。

単価;@5,000円ー@5,000円×0.1=@4,500円

総額;1,000,000円→900,000円

 

(3)配当金受領日

①会社上の処理

(現金預金)193,874(投資有価証券)200,000

(租税公課) ※6,126

※資本剰余金から配当を受けた株主は、受取配当金ではなく、原則として、有価証券の帳簿価額の減額処理を行います。

※税金(所得税)で、みなし配当金に対して源泉徴収税率15.315%(復興特別所得税を含む)

なお、非上場会社からの配当の場合は20.42%(復興特別所得税を含む)

※所有期間に関わらず全額が法人税額から控除できます。

 

②税務上の処理

(現金預金)193,874        (投資有価証券)100,000

(租税公課)    6,126              (みなし配当)40,000

                 (投資有価証券譲渡益)60,000

 

③税務修正

(投資有価証券)100,000   (みなし配当)40,000

               (投資有価証券譲渡益)60,000

 

(4)株式譲渡日(全部売却)

◎会社上の処理

(現金預金)1,200,000   (投資有価証券)800,000

               (投資有価証券売却益)400,000

 

㊟効力発生日の属する期の税務申告での注意点

①みなし配当金として、40,000円全額を受取配当等の益金不算入の対象とします。

 通常、益金不算入割合は50%です。

 

ちなみに、株式譲渡日が翌期となった場合はどうなるでしょうか?

この場合には、さらに次の税務調整が必要になります。

②A社株式

イ)税務上簿価;900,000円(上記より)

ロ)会社上簿価;

 1,000,000-200,000=800,000円((3)①の仕訳考慮後)

ハ)調整金額

 イ)-ロ)=100,000円 ∴A社株式計上漏れ 100,000円(加算・留保)

   ※実際の別表調理は、

    みなし配当40,000円、譲渡益60,000円の2項目(計100,000円)を加算留保調整します。

 

このように、利益剰余金を原資とする場合とくらべて処理が大変になります。

好調な企業業績を受けてか、資本剰余金を原資とする配当事例は最近少なくなった感じがします。

ほとんどの会社が利益剰余金を原資として配当しています。

 

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(税理士 橋本ひろあき) 


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