遺産が多くて相続税の納税が必要となった場合、どうすべきでしょうか?
相続税については、金銭(現金)での一括納付が大原則です。
ですが、一括納付が困難な場合には分割納付(延納)が可能です。
ただし延納には要件があり、かつ、延納期間(通常は10~20年)に渡って
利子税(通常は年2.1%~3.1%)という利息がかかります。
※延納期間や延納利子税は、相続財産のうち不動産等が占める割合によって変わります。
それでは、延納でも納付困難な時はどうなるのでしょうか?
相続税については、予期しない遺産税という特殊性から「物納」という特別の納税方法が認められています。
しかし、この物納についても要件があります。
また物納物件には優先順位が法定されており「遺しておきたい財産」も収納しなければならない事態も起きえます。
※相続時精算課税適用財産は除かれます。また、納期限までに物納の申請をし、原則として3か月以内に許可又は却下の処分が行われます。
こうした事態を招かないように、納税資金対策も早目に抜かりなく行う必要があります。
やはり大原則の現金一括納税ができるように、遺産の中に十分な現金がのこるように準備しておきたいものです。
そのためには、「保険」の活用を特にお薦めいたします。
保険金(死亡)には、非課税枠(500万円×法定相続人の数)があります。
例えば、相続人3人なら、1,500万円は相続財産にはカウントされません。
つまり即座に節税になります。
さらに現金が保険金受取人である相続人に支払われますから、他にキャッシュがなければ、この保険金を納税に充てることができるのです。
(税理士 橋本ひろあき)
~スッと読めますシリーズ~
拙著「相続税の基礎知識と増税対策」収録記事