同族会社の役員は相続税の対象になりやすいです。
それは多くの場合、会社に貸しをしているからです。
会社は運転資金や設備資金、役員報酬の未払い額など役員からの借入金が多く溜まっています。
その金額は決算書や帳簿を見れば一目瞭然です。
このように役員からの借入金が多い会社は財務状況の厳しいところが多く、場合によっては債務超過の状態にあるため、自社株の評価自体は低額又は0円になることが多く財産として価値あるものはありません。
しかしながら、会社貸付金については紛れもなく「相続財産」になります。
過去からの累積額で数千万になっていることも珍しくありません。
これが相続財産にカウントされれば、課税ラインの目安5,000万円を超えてくる役員も多いのではないでしょうか?
その対応としては、生前贈与が一番です。
毎年110万円の贈与税の基礎控除額(免税点)を活用し、子・孫などに債権を移転するのです。
5年であれば、3人に贈与するとして1,650万円を
10年であればその倍の3,300万円を
移転でき、その結果、役員の相続財産をその分減らすことが可能です。
※以前は、DES(債務の株式化)という手法が流行りましたが、会社の資本金が増加してしまうデメリット(登記コスト・住民税均等割増加)と組織再編税制の改正(非適格現物出資に該当し、債務免除益が発生してしまう。)による税制面でのデメリット(税コスト)により、現在はあまりお薦めできません。
(税理士 橋本ひろあき)
~スッと読めますシリーズ~
拙著「相続税の基礎知識と増税対策」収録記事