(準拠:平成28年4月1日現在法令等)
前回からの続きです。
■移転不動産の選定方法
基本は、建物のみ法人へ移転します。
具体的には、1棟建てマンション、アパートの建物部分です。
※留意点
①資金があれば、土地も同時移転するとよい。
②投資利回りが良い物件を選んで移転する。
③建物の帳簿価額の低い物件を選んで移転する。
④区分所有マンションは、建物部分と敷地利用権が一体なので建物のみの移転は不可である。
⑤銀行借入金があるため抵当権が建物に設定されている場合は、銀行に相談し外す又は法人に承継する必要がある。
■注意点
①借地権の問題が生じます。
⇒法人が「無償返還の届出書」を税務署に提出し回避する。
②法人が通常地代を支払います
⇒固定資産税相当額の3倍程度が目安です。
このため、個人地主側で地代収入が発生してしまいます。
■具体的な移転コスト試算
例)アパート建物のみの移転(建物固定資産税評価額3千万円のケース)
・登録免許税⇒3千万円×2%=60万円
・不動産所得税⇒3千万円×3%=90万円
・譲渡所得税⇒通常、帳簿価額により売却だと所得なし⇒0
・消費税⇒帳簿価額(課税売上高)3千万円×8%=240万円
・司法書士報酬⇒5万円
・税理士報酬⇒譲渡所得の申告で5万円
計算すると合計で160万円となります。
(該当者は少ないと思いますが、消費税課税事業者の場合は合計で400万円)
移転コスト以上の節税が将来的に期待できれば、法人設立を検討することになります。
■関連記事
(税理士 橋本ひろあき)